妻に転職反対された30代パパがそれでも転職できた理由
あの夜、妻は泣いた後、しばらく何も言いませんでした。
数日間、家の中の空気が変わったというか。ご飯は普通に食べるし、子供の話もする。でも転職の話は、なかったことのようになっていた。
そして1週間ほど経ったある夜、妻から「やっぱり、反対」と言われました。
言葉は穏やかでしたが、内容は明確でした。「子供がいるのに、なんでこのタイミングなの」「今の会社で、もう少し頑張れないの」「失敗したら、どうするの」
一つ一つが刺さりました。でも、聞いていて思ったんです。これは怒りじゃない、と。妻の声に怒気はなくて、どこか震えているような感じがあった。この言葉は、怖さから来ている。そう感じました。
正直、反対されました
妻に転職を切り出したあの夜のことは、別の記事に書きました。→ 転職したいと妻に話したら泣かれた夜のこと
(参考:厚生労働省「職場における子育て支援」)
妻が一番怖かったのは、お金じゃなかった

最初、私は「収入が下がることへの不安が一番大きいんだろう」と思っていました。
設備管理からITへの転職。最初の1〜2年は年収が下がる可能性もある、という話はしていました。だからそこが一番のネックなんだろう、と。
でも、そうじゃなかったんですよね。
何度か話し合いを重ねるうちに、妻がポツリと言った言葉があります。「あなたが、変わってしまいそうで怖い」
その瞬間、ハッとしました。お金の話じゃなかった。私が知らない世界に飛び出して、変わってしまうことへの怖さだった。自分だけ新しい環境に馴染んで、家族が取り残されるような感覚。夫婦なのに、気づいたら遠くなっていた、みたいな。
妻がそれを言語化できたのは、後になってからだと思う。でもあの一言を聞いて、私はようやく「何を怖がっているのか」がわかった気がしました。
説得しようとして、逆効果になった話
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正直に言うと、最初の数週間は完全に間違ったアプローチをしていました。「大丈夫、絶対うまくいくから」「IT業界は今伸びてるし、年収も上がると思う」「俺を信じてほしい」
こういう話を、何度もしていた。
でも言えば言うほど、妻の表情が固くなっていくのがわかりました。話しながら、どこか壁が上がっていくような感じ。
そしてある夜、妻が言いました。「なんで私が納得しなきゃいけないの。あなたがやりたいだけでしょ」
…刺さりました。正しいな、と思ったから。私は「説得」しようとしていた。相手を論破して、黙らせて、首を縦に振らせようとしていた。妻はそれを感じ取っていて、だから余計に頑なになっていたんだと思う。
反対が賛成に変わった、たった一つのこと

方向を変えたのは、「説得をやめること」でした。代わりにやったのは、一緒に考えること。これだけです。
転職先の候補を、一緒に調べるようにしました。家計のシミュレーションも、Excelで二人で作りました。転職後に収入が月5万円下がったら、どの支出を見直すか。子供の習い事はどうするか。貯金はどう動くか。
妻は数字を見ながら、少しずつ話に入ってくるようになりました。
ある夜、転職候補の会社のページを一緒に見ていたとき、妻が言いました。「この会社、残業少なそうだね」
その一言が、すごく嬉しかった。敵じゃなくて、同じ方向を向いてくれた瞬間だと感じました。
内定が出た日、妻に報告すると「よかったね」と言ってくれました。「頑張ったね」じゃなくて、「よかったね」だったんです。あの言葉の選び方が、なんか、ずっと残っています。

妻が「数字」で納得した話
| 項目 | 転職前(設備管理) | 転職後(ITエンジニア) |
|---|---|---|
| 年収 | 約380万円 | 約350万円(入社1年目)→翌年420万円 |
| 残業時間 | 月平均40〜50時間 | 月平均15〜20時間 |
| 休日出勤 | 月2〜3回あり | ほぼなし |
| リモートワーク | 不可 | 週3〜4日可能 |
| 家族との時間 | 少ない | 大幅に増えた |
一緒に考えるようにした、と書いた。その中で一番効いたのが、Excelでの家計シミュレーションだった。
転職後に月5万円収入が下がったとして、何をどう削るか。固定費、食費、子供の習い事、保険。一つずつ洗い出して、「削れるもの」と「削れないもの」を仕分けた。妻はその作業に黙って付き合ってくれて、途中から自分でも入力するようになっていた。
「やってみたら、なんとかなりそうだね」妻がそう言ったのは、その夜だった。
感情で話しているうちは、妻の不安は消えなかった。でも数字に落とし込んだら、「怖い」が「対処できる」に変わった。当たり前といえば当たり前なんだけど、それに気づくのに2ヶ月かかった。
今思うと、最初から「一緒にシミュレーションしよう」と言えばよかった。「大丈夫だから」という根拠のない言葉より、数字の方がずっと誠実だった。
転職して1年、妻は今どう思っているか
転職してから、もう1年以上が経ちます。
今の職場は週2〜3回は在宅勤務ができます。子供の保育園のお迎えを私が担当できる日も増えました。上の子の参観日にも、初めて行けました。以前は現場仕事で、そういうのはほぼ妻任せだったので。
妻は最近、こう言ってくれました。「転職してよかったと思う」
この言葉の重さを、私はたぶん一生忘れないと感じている。最初は反対していた妻が、自分の口でそう言ってくれた。しかも、私に言わされたわけじゃなく、生活の中でそう感じてくれた、ということだから。
転職って、自分だけのことだと思っていました。でも実際には、家族全員の話だったんですよね。妻の不安も、子供の生活リズムも、全部ひっくるめて変わる話だった。
だから「妻を説得する」じゃなくて、「家族で一緒に決める」に変えたことが、たぶん唯一正しかったことだったんだと思っています。
妻に転職を切り出す前に、やっておくべきだったこと
今になって思うことがある。もっと早く動いていれば、妻の不安期間を短くできたんじゃないか、ということ。
私がやっておけばよかったと思うのは3つだ。
一つ目は、転職を切り出す前に家計の全体像を整理しておくこと。話を持ち出したとき、私は「なんとかなる」と言うしかなかった。数字がなかったから。妻は不安になって当然だった。
二つ目は、転職先の候補をある程度絞ってから話すこと。「転職したい」という状態と「この会社に転職したい」という状態では、妻の受け止め方が全然違う。具体性が不安を減らす。
三つ目は、転職エージェントに先に相談しておくこと。自分の市場価値を客観的に把握してから話すと、「本当に採用されるの?」という不安に答えやすくなる。私はレバテックキャリアに登録して、まず自分がどのくらいの求人に応募できるかを確認してから、妻に話を持ち出した。それでも反対されたが、「採用してもらえる見込みがある」という根拠があったのは大きかった。
転職は「自分が決める」ものだけど、家族への伝え方は「一緒に決める」ものだった。そこに気づくまでに、少し時間がかかりすぎた。
反対された状況でも転職を成功させるためのアクション
パートナーが転職に反対しているとき、最も効果的なのは「感情で説得しようとしないこと」だ。代わりに数字と計画を見せること。転職後の収入シミュレーション、活動スケジュール、最悪のケースへの対処——これらを具体的に示すと、相手の不安が「理解できる心配」に変わる。
エージェントに登録すれば、転職後の年収見込みや活動スケジュールをプロに試算してもらえる。その数字をパートナーと一緒に見ることが、反対から理解への第一歩になる。エージェントは無料で利用できるので、まず話を聞いてみるだけでも価値がある。
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